ラウンドテーブルディスカッション
ROUNDTABLE DISCUSSION
ROUNDTABLE DISCUSSION
デモンストレーション「統合ヘルスケアの実践: 模擬RTD(ラウンドテーブルディスカッション)」
▮ 7月6日(日) 10:40~12:40 (120分)
▮ 会場: メインホール
▮ 司会: 伊藤 京子(名古屋大学大学院医学系研究科総合診療医学)
▮ 司会の言葉
【趣旨】
統合ヘルスケアは、多職種が協働し、患者の身体的・精神的・社会的側面を包括的に支援するアプローチである。本デモンストレーションでは、名古屋大学病院総合診療科が実際に行ったラウンドテーブルディスカッション(RTD)を模擬的に再現し、多職種協働による統合的なケアの実践プロセスを提示する。
【内容】
模擬RTDでは、「慢性的な疲労感や不定愁訴を訴える患者」を症例として取り上げ(症例は当日提示します)、医師・鍼灸師、ヨーガ療法士、アロマ療法士、臨床心理士・管理栄養士・中医師・保健師など多職種が集まり、それぞれの視点から患者の状態を評価し、患者中心のケアプランを協議する過程を提示する。ディスカッションを通じて、疾患の医学的評価だけでなく、生活背景、心理社会的要因、治療の受容性などを考慮し、患者がよりよい生活を送るための支援策を検討する。また、各専門職がどのように連携し、実際の診療や支援に反映させるのかを具体的に解説し、統合ヘルスケアの実践的なノウハウを共有する。参加者には、統合ヘルスケアの理念だけでなく、現場での運用方法や課題についても理解を深めてもらうことを目的とする。
模擬ディスカッションでは、以下の統合ヘルスケアチームの多職種協働の6要素が実際の診療やケアの現場でどのように実践されるかを具体的な事例を交えて説明し、統合ヘルスケアの実効性を高めるポイントを共有する。
【統合ヘルスケアチームの多職種協働の6要素】
1. 共通言語の理解
● 各専門職が持つ「冷え」などの概念の違いを理解し、意思疎通の基盤を作る
● 例:西洋医学・東洋医学・栄養学・ヨーガ療法における「冷え」の解釈
2. 役割の明確化
● 各専門職の強みを活かし、相互補完的なケアを実現する
● 症例検討中に「この介入は誰が担当する?」を明確にする
3. 多職種間の相互理解
● 他職種の知識を活用し、より良い治療戦略を作る
● ディスカッションの際、「他の職種の視点で考えるとどうか?」と問いかける
4. チームでの意思決定プロセス
● 最適な統合医療プランを作るための意思決定を明確化
● 例:「診断 → 栄養指導・鍼灸を並行して進め、ヨーガはどのタイミングで介入するか?」
5. 患者中心のアプローチ
● 「患者にとって最も有益なケア」を考慮し、実行可能な形で提供する
● 例:「忙しい会社員がどの時間帯にどのケアを取り入れられるか?」
● 「患者にどう伝えるか?」を最終的なアウトプットとしてまとめる
6. チーム内コミュニケーションの円滑化
● 職種間の情報共有をスムーズにし、無駄なく連携する
● 「実際の現場ではどのように情報共有するか?」を議論
【期待される成果】
● 統合ヘルスケアの実践的な運用プロセスの理解
● 多職種連携の重要性と課題の認識
● 現場で活用できるディスカッションの進め方の習得
本デモンストレーションを通じて、統合ヘルスケアの実践をより深く理解し、今後の臨床や教育現場での応用につなげるための機会となることを期待する。
▮ 参加メンバー
<医師>
松葉泰昌(名古屋大学医学部附属病院総合診療科)
嶋芳成(横井医院)
<中医師>
胡暁晨(名古屋大学医学部附属病院総合診療科)
<ヨーガ療法士>
中澤香代
<アロマ療法士>
安田由佳(KANON CREATION)
中村智美(株式会社木花、英国IFPA認定アロマセラピスト、真宗大谷派僧侶)
吉田一江(おおすぎハツノ内科クリニックアロマ外来)
<鍼灸師>
長谷川栄一(長谷川鍼灸院)
長岡哲輝(長岡治療院)
坪内一正(坪内鍼灸療院)
<臨床心理士>
藤江里衣子(藤田医科大学医学部医療コミュニケーション、名古屋大学医学部附属病院総合診療科)
<管理栄養士>
森口幸子(あまの創健トータルヘルス研究所)